アズミノイロ《安曇野彩》 サクラ咲く

　いよいよ、ここ安曇野にもサクラの季節がやってきました。やっぱり春をまとったサクラがいちばん好きです。春らしいあたたかい空気に包まれる日も、日に日に増えてきています。

　私が通っていた安曇野市のとある小学校には約５０年前に植えられたであろうサクラが子供たちを見守るかのように、生徒玄関前に何本も植えられています。サクラが咲くとその大木の下で給食を食べる《お花見給食》が行われます。サクラの季節になると思い出すのは小学校時分の《お花見給食》です。

　いつもは机の中に教科書をしまうために使っている引き出しをお盆代わりに、それぞれ自分の分の給食を乗せ校庭のサクラの下まで運びます。いつもと同じ給食なのにいつもとは特別に違う給食。青空の中、サクラの下でみんなで食べるご飯は笑顔の花を咲かせます。安曇野の強い春風達がひらひらと舞い落ちる花びらのトッピングで、子供達にささやかないたずらをします。可愛らしいサクラの子供達もいっしょになって弾みます。

　何十年も子供たちを見守り続けるサクラは、春からはじまる新たな出会い、新たな挑戦、今しかないその瞬間を。その全てを。やさしく見守り微笑みかけてくれます。

　
　今年はとても残念なことに再び子供達が登校する頃には、サクラはもう散ってしまっているかもしれません。今、安曇野で満開に咲き誇っているサクラのように子ども達にも満開の笑顔が咲き誇る日が早く来ることを願います。