アズミノイロ《安曇野彩》 田鏡

   田んぼに張られた水面に安曇野が写し出される季節。常念岳やアルプスの山々と雲が描き出す水鏡。朝日の眩しさも夕日の切なさも、水面に写し出されるアートは今だけの展覧会です。稲が大きくなるとその光景は体験することができなくなってしまうので、きれいな水が織り成すこの季節だけに味わえる、安曇野だけが知ってる美術館。瞳をキラキラと輝かせながら田んぼの水面に写る子供たちも毎年違う、大事な宝物。

   キラキラと輝く田んぼは小さな水族館。おたまじゃくし、カエル、あめんぼ、ゲンゴロウ。いろいろな生き物たちが仲良く暮らしています。子供たちにとって沢山の好奇心が詰まったその場所は、一日中いても飽きない場所。泥んこなんか気にしない。水面を揺らす安曇野の風もそんな子供たちを見守りながら、どこか嬉しそう。そよそよと香る苗も優しい眼差し。

   今年も同じように安曇野は田園風景が広がっています。おじいちゃんから小学生、家族みんなで田植えをする光景があちこちで見られましたが、時期的にもう落ち着いたようです。田植えのトラクターが道路を走る光景は安曇野ならでは。そんな長閑な安曇野に自然と笑みがこぼれます。